side 光冴


相川姉妹が大阪に連れ去られて2週間以上経つ。
武力を用いた抗争は、メディアが騒ぎ立てたことで警察に介入され3日で終わった。


しかし、この期に及んで山城が姿を眩ませたから荒瀬はその捜索に当たっていた。


指揮官を失った極山はたまらず白旗を上げ、すべては山城が企んだことだと責任転嫁して逃れようとしていた。


まったく、極道の風上にも置けない連中だ。


ため息をつきながら荒瀬組本家の長い廊下を歩く。


全快ではないが怪我が回復したため、俺と理叶は荒瀬兄弟の調査の手伝いをしていた。


荒瀬の上層部が、壱華のみならず実莉まで殺そうとしていたのが判明したのはつい最近のこと。


その考えを覆させるために、消えた山城の行方を全力で追っているところだった。



「えぇー!?」



すると、奥の部屋から颯馬さんの驚きに満ちた声が聞こえた。


部屋の襖を開けて中に入ると、颯馬さんはタブレットを抱えて目を丸くしていた。