私もこの世界で、志勇みたいに熱烈に愛してくれる人に出会えるのかな。

ヤクザがはびこる世界で恋愛なんて、かなり難易度高いけど。



「どこに行くの?」

「事務所に寄る。まだ壱華を連れて行ってねえだろ」



ところでおふたりさんは、今から事務所に向かうらしい。


そっか、本家は行ったけど事務所はまだ行ってなかった。


……事務所ってどんな感じなんだろう。少し興味あるな。



「私は!?」

「お前も来るのか?」

「今日まで壱華と一緒にいるの!」

「勝手にしろ」



“もう俺の壱華だ”なんて言われるかと思ったけど、志勇は案外すんなり了承してくれた。


壱華と過ごす最終日、私たちは事務所──いわゆる志勇の職場にお邪魔することになった。