「えっと……これは!」

「まあ、今日くらい実莉に甘える権利譲ってやるよ」



弁解しようとしたら、光冴は理解してくれたようで、もってきた竹のカゴを理叶の前のローテーブルに置いた。


そこには、厨房の人が心配して持たせてくれたのか、おにぎりが入っていた。



「は?元々実莉はお前のじゃないだろ」



しかし、優しさを無下にするように理叶は光冴を睨む。


さすがに光冴怒るよ?と思ったけど光冴は爽やかな笑みで理叶を見つめていた。



「知ってるよ、実莉は誰のものでもない。自由だから惹かれるんだ」

「……ああ、そうだな」



肯定した光冴に理叶は穏やかな表情を浮かべ「俺たちとずっと友達でいてくれ」と理叶は笑った。



「あったりまえじゃん!」



明日も分からない不条理なこの世界。


私は急激に涙がこみあげてきて、その苦しさをかき消すように大きな声で返事をして口角を上げて答えた。