「ねえ、どれ着ていったらいいと思う?壱華は志勇の好みで黒着てくるだろうから、やっぱり白かな」

「実莉さん、服よりまず顔洗ってきて下さい。髪も寝癖すごいですけど」



私もすっかり凛太郎に慣れてしまって、今ではすっぴんを晒すほど気を許す関係になってしまった。


物語の重要人物だから慎重に仲良くならなきゃ、なんて思っていた当初が懐かしい。


私も凛太郎も元々図太いから、1か月も経てばふたりとも素で話し合う仲になった。



「今日に限って寝癖やばいの萎える〜。涼ちゃんにヘアアレンジしてもらいたかったけど今日お仕事で朝から居ないしなあ。普通にゆるく巻くくらいでいっか」

「実莉さんって独り言でかいですよね」

「違う!凛に話しかけてんの!」


ほら、さっそくバカにしてきた。


ツッコミを入れるついでにもっと敬えと注意しようとしたけど、綺麗な笑顔を輝かせるものだから気が抜けて何も言えなかった。