やっぱり好き

「早瀬?もう帰ったんじゃなかったの?」
「部活の先輩に会って、話してた」
「そっか」
「お前こそ。こんなに雨降ってるのに傘持ってないんだったら早く帰れよ」
「うん。そうだよね。早瀬、先に帰ってくれていいよ。傘、ありがとう」
「いや、どうせ俺も暇だし」
「そっか」
それから、しばらく沈黙が続いた。
「メール、なかなか返せなくてごめん。ちょっと何て返せばいいか分からなくて…あと、写真も」
「別に良いよ」
冷静になってみると早瀬とこんなに話せていることが信じられなかった。
「体育祭では写真撮ろうな。…くるみ」
「えっ」
「だから、写真を」
「そっちじゃなくて!今、私のこと下の名前で…」
「ああ。呼んだらだめだったか?」
「だめじゃない!私も幸と写真撮りたい」