「…あの、如月くん……?」

もう一度、隣に座る彼に声をかけると、はっとしたように私の方を向いた。

……何だろう、さっきの私を見てるみたい……。

「……っ、ごめんね〜、話しかけといてボーッとしちゃって」

如月くんは何ともなかったかのように私に話しかけてきた。

さっきの、やっぱり気のせいだったのかな……?

「き、気にしないで、ください……。それで、何か用があるんじゃ……」

ま、また、たどたどしくなってしまったっ……。

私が問いかけると、如月くんはいつもみたいな笑みを浮かべて、体ごと私の方に向けてきた。

……正直、その笑顔が苦手なんです、って言えてしまえば、どんなに楽だったか……ってダメダメ、こんなネガティブな考え……!

「いやー、俺、君のこと苗字しか知らないからさ。成海さんってのは分かるんだけど、下の名前も知りたいな〜」

確かに私、自己紹介してないな……って、ちょっと待って!

私が学年首席なのを知ってるって事は、掲示板に目を通してるんだよね、きっと。

掲示板を見てるなら、私の下の名前も知ってるんじゃ……いや、よくよく考えたら、読み方難しいし、首席ってことも風の噂で聞いただけかもしれない……!

すぐ色々考えちゃう癖を直そうと密かに決意しながら、私も目の前の彼に向き合った。