誰もが一度は思ったことがあるであろう。

魔法が使えたらなんてことを。

僕は毎日のように思っている。

毎朝起きると枕元に現金100万円が置いてある魔法。

好きな女の子を振り向かせる魔法。

嫌いなあいつを消す魔法。

瞬間移動できる魔法。

言い出すときりがない。

世界のどこかに実は魔法があるのではないかと信じたくなる。

今からここで話す内容はそんな誰もが一度は抱く夢のような話ではない。


ラジオを聴いていた。

「皆さん、こんばんは。お送りするのは私tofuとマナミです」

時刻は0時を回った。

僕はソファーに座り缶ビールを開けた。

「今日はクリスマスですね。皆さん、いかがお過ごしでしょうか？」

tofuは話を進めた。

僕は特に用事もないし、年末の仕事もまだ終わっていない。

「クリスマスですね。tofuさんは何かクリスマスの思い出はありますか？」

「マナミは毎年その質問を俺に聞いてくるよね？」

tofuは笑った。

「俺のクリスマスの話を聞いても面白くないって言うリスナーもいるんだから」

そんな話はどうでもいいから平和にクリスマスソングでも聴こうぜ。

僕は呟いた。

外はクリスマスのイルミネーションでライトアップされ、普段より車も多く走っていた。

「ところで今日も聴いてくれてるかな？君。この後、クリスマスのプレゼント抽選を行うんだが、それとは別に僕達から君へのプレゼントがあるんだ。最後まで楽しんでいってくれよ」

それじゃあ、まずはこの曲からいこう！

tofuがそう言うと曲が流れ始めた。

クリスマスと言ってもなんだかワクワクするような気持ちにはなれない。

だがクリスマスソングは別だ。

心をワクワクさせてくれる。

親からプレゼントをもらっていた歳までは楽しみだったが、交換となると気をつかのが面倒に感じる。

それなら一方的にあげるかもらう方がいい。