「愛を知らないから、愛せないって?
おかしいでしょう。
だって、『愛せない』ってことは、『愛』を知っているからでしょ?
愛を知っていて、その愛を向けられないから愛せないっていうんでしょう?
私の友達にもね、愛を知らない子がいた。
愛を知らないから、『憎しみ』が愛だと思っていた。
彼女は、彼女が命をかけて守らなければならない人を、憎んでいたから。
彼女は、守らなくてはいけない人を守るように教育されてきた。
だから命をかけてでも守れる。だって、守らないと痛いことが待っているから。
でも、彼女は命をかけることを正当化したかった。
愛しているから、命をかけられるんだと思っていたかった。
だから彼女は、愛を知らないまま、死んでいったんだよ…」



