黒い龍は小さな華を溺愛する。


金曜日の20時。

秋元は約束通りの時間にアパートへやってきた。

黒光りしているアルファードは威圧感たっぷりだった。

後部座席のドアが開く。


「ちゃんとメイクしてきたか?」

「……はい」


色んな奴らに紹介するから、恥をかかないようメイクをしてこいと事前に言われていた。


「いいな、やっぱりお前は綺麗だ。こんなレベルの女見たことねぇ」


私の腕を引っ張り車内に入ると、知らない男も乗ってきた。


私が逃げられないようにしたのかな。


窓の外は街灯もまばらな海沿いの道。

やがて車は、錆びついた鉄骨がむき出しになった巨大な建物の前で止まる。


「ここ……?」


「そうだ。俺らはいつもこの廃墟になった倉庫で集会をやる」


逃げ場なんて、最初から用意されていない場所だった。