沈黙の中、常盤くんは私の手首を一瞬だけ見つめてから、静かに離した。
「もう……やめろよ」
それだけ言って、視線を逸らす。
その言葉が、胸の奥に突き刺さった。
別れたのに、常盤くんにとっては迷惑だよね。
私から言ったくせに、勝手なことして……。
常盤くんは私の横を通り過ぎて、自分の席に座った。
「ごめんね……」
そう一言言って教室を出た。
側にいるだけでこんなにも胸が苦しくなる。
忘れる事なんてできない……。
こんなことでこの先やっていけるんだろうか。
ほんの一瞬手首に残った常盤くんの体温が、
どうしても消えてくれなかった。



