黒い龍は小さな華を溺愛する。


常盤くんは今日お休みなのか、まだ来ていない。

私と別れたんだからもう守る必要、ないもんね……。

付き合ってから毎日後ろの席にいるのが当たり前で。

いつも見守っていてくれた常盤くん。

重荷になっていたんじゃないかなって、思っていた。

それでも嫌な顔せず、一緒にいてくれた。

本当に優しい人なんだよね。


3時間目の移動教室の時。

廊下に出ると常盤くんが遠くから歩ってくるのが見えた。

今来たんだ。

あくびをしながら、なんだかすごく眠そう。

姿を見ただけで、心臓が大きく高鳴る。

目を逸らさなきゃ……。

すれ違うまでの秒数が、やけに長い。

チラッと様子を伺ったが、常盤くんがこっちを見ることはなかった。

ズンッと重いものがのしかかった気分になる。

……自分で別れ話をしたくせに。身勝手だよね。

私の事なんてもうなんとも思ってない、のかな。

その後すぐに紫藤くんの姿が目に入った。