黒い龍は小さな華を溺愛する。


視線の先は私の胸元で、そこには無数のキスマークが。

「……あっ」

自由になった両手で、思わず隠した。


「別れたって言ってんのに、これかよ」


秋元は舌打ちして私から手を離した。


「胸糞わりぃ……別れてもアイツのもんだって言われてるみてぇだ!」


吐き捨てるように言う。

怒りに満ちた表情のまま、しばらく黙りこんでいた。

さっきまでの余裕さは消えていて。


「……今日はいい。もう帰れ」


信じられなくて目を見開く。


「……え?」


「気分が萎えた!そんなの見せられて起つかよ!」


乱暴に言われたのに、その言葉が救いだった。


私は何も返事をしないまま、慌ててバッグを持ってドアを開けた。


秋元の気が変わらないうちにここから出なきゃ!


他の男たちは驚きながらも何もしてこない。


この人たちは秋元が指示しない限り、動けないんだ。


階段を下りる足が震えていたけど、少しでも早く遠くへ行きたかった。