黒い龍は小さな華を溺愛する。


「……確かに守られてばかりだよ。でも……選ぶのは私達じゃないから」

「……は?」

「常盤くんだから……」

そう言い返した声は震えていた。

それを聞いて、ため息をつく瑠亜。

「夕晴はね、弱い人間を支えるのに慣れすぎてる。もうあの頃の夕晴を見たくないの」

瑠亜が近づいて耳元で囁く。

「お母さんの事も、あの頃の事も夕晴の本当の気持ちも、全部知ってるのは私だけなんだよ」

ドクンと心臓が波打つのを感じた。

固まってると、

「聞いてんの!?」

と肩を押され、手に持っていた紙袋を床に落としてしまった。

嘘……お弁当が逆さまになっている。

こんなの常盤くんに見せられない。

「瑠亜ーっそろそろまずいって!こんくらいにしとこーよ!」

もう一人の女の子が焦りながら瑠亜を引っ張る。

「夕晴はね、守る側じゃないと壊れる人なの。あんたが側にいる限り、また無理するよ。わかったなら早く別れてよね、夕晴からは言わないだろうからさ」

私はお弁当を拾ったまま顔を上げられなかった。