黒い龍は小さな華を溺愛する。


「……常盤くん、分け目変えた?」

「気付いたんだ?すげー。さすがカノジョ」

少し照れたように笑って、私の頭を撫でた。

かっこよすぎて……胸がいっぱいになる。


「沙羅もやばいくらい可愛い」

そんなことをサラッと言われて、どう返したらいいものか。

悩んでいると、

「その荷物なに?」

と私の手に持っていた少し大きめの紙袋を指さされた。

「あ……えっと、なんでもない!メイク道具とか。女子は色々あるんだよ!」

「ふーん。重そうだから持つ?」

「ううん!平気!気にしないで!?」

お弁当はサプライズにしたい。

常盤くんは勘が鋭いから困るな……。


快晴の空の下、私たちは水族館の中へ入った。

自然に差し出された手に、迷わず自分の手を重ねた。

水槽の中を泳ぐ魚たちより、隣で歩く常盤くんの横顔ばかり見てしまう。


「イルカのショー見るんだろ?」

「うん!」

あ、天気も良いしショーが終わったらお弁当を食べよう。