一週間後。
赤ちゃんはまだ退院出来ないけど、
私は一足先に退院出来た。
「あれだな?
結局、桃子ちゃんのお父さん、毎日お見舞い来てたの?」
「うん」
私の父親、楓と顔を合わしたくないからか、昼間にお見舞いに来るのだけど、
孫が生まれて嬉しいのか、毎日来ていた。
「そっか。
俺も店長とかになったら、桃子ちゃんのお父さんも、俺の事ちょっとは許してくれるかな?」
そう言う楓に、私から抱き付いた。
「私も、あの子が半年くらいになったら、保育園に入れて働くから。
一緒に頑張って、借金返そう?」
「うん。
それもそうだけど、早く子供の名前考えないとね」
楓のその言葉に、そうだね、と頷く。
その時、ピンポーン、とチャイムが鳴り響いた。
「もしかしたら、お父さんかな?
ほら、今日は朝退院だったから、お見舞い来れなかったから」
あ、でも、赤ちゃんはまだ入院なの、お父さんも知ってるよな。
そう思いながら、お父さんだった場合も考え、私が玄関に向かう。
オートロックのないマンションなので、
来訪者は、部屋の前迄上がって来られる。
だけど、特に確認せず、扉を開けた。
そこに立っていたのは、
三番目のターゲットの雪村弥生さん。
頭の中で、色々な何故?が浮かぶ。
「中村楓さんの、奥さんですよね?
私、雪村弥生と言います」
「あ、はい…」
「以前、中村さんが、マンションの下が○△□って名前の焼鳥屋だと話していたので。
で、うちは2階でその真上だから、洗濯物が焼鳥臭いって」
雪村弥生さんはそう笑っている。
確かに、彼女の言う通り、うちの真下は焼鳥屋。
とりあえず、何故、この子が私達の家を知っているのかは、分かった。



