数日後。


一人目のターゲットの近藤日和さんを、
この人の職場近くの喫茶店へと夕方呼び出した。



「夕べ、電話でも、話した通りです。
あなた、私の夫と不倫してますよね?」


そう切り出すと、目の前の近藤日和さんはガクガクと震えている。



この人と携帯番号やLINEを交換するように、楓に指示を出していた。

そして、楓から私にそれが伝わっていて、夕べ、私がこの人の携帯番号に電話をした。


「あの、中村さんとは一度きりで!
もう絶対に彼と会ったりしませんから!
あの美容室も、もう行きませんから!」


そう必死なこの人の姿を見ていて、
なんだか、おかしな話だけど、怒りが湧いて来る。


私が差し向けて、楓と関係持たせたのに。


なのに、なに人の夫に手を出しているんだ、と、そんな気持ちが湧く。


「実は、探偵に頼んで写真を撮って貰いました。
以前から、楓、少し帰りが遅い時とかあって、行動が怪しかったので。
そんな一度だけとか、信じられない」


この話、実は少し本当。


帰りが遅くて、怪しいって部分。


その謎は、スロットやってたのだと、もう分かっているのだけど。


「本当に、中村さんとは一度だけなんです!」


そう言う彼女の前に、数枚の写真を並べる。


そこには、あの日私が撮った、楓と近藤日和さんがラブホテルに入る所と、出て来る所の写真。


「後、楓本人が認めました。
楓もあなたとは、一度きりだと言ってましたが、それが本当かどうかは」


そう、濁す。


その辺りは、変に嘘を盛らない方がいいだろう。


一度だけしか関係を持っていないのは、私だって知っているけど、
二人のその言葉を、私は信じていない体で行く。


一度きりの関係より、断続的な方が、その罪は重いから。


言葉を無くしている、近藤日和さんにさらに私は畳み掛ける。



「あなたと夫とのやり取りのLINEも、見せて貰いました」


その言葉に、近藤日和さんの顔は、真っ青になって行く。


そのLINEの内容は、楓に対して好きだというのは勿論、
奥さんと別れて欲しいとか、そんな事迄。

楓は当たり障りなく初めはそれを返していたが、途中からは既読無視で、最終的には、もう見てすらいなかった。


代わりに、私が見てあげたけど。


私の夫への、この人の愛のメッセージ。