クールな准教授は密かに彼女を溺愛する

「とりあえず、血は止まったか。」
握られてた指を確認して、要は紗奈を抱き上げる。

「きゃっ。
じ、自分で歩けます。」
慌てて降りようとするが、要は気にも止めずスタスタと紗奈の部屋に向かって歩き出す。

ドアの前で止まり、紗奈を見下ろす。
「部屋の中入っていい？」

「ど、どうぞ。要さんの家ですし、私に拒否権は無いです。」

「あるよ。この部屋は紗奈のプライベート空間だろ？俺が勝手に入れる場所じゃない。」

「お邪魔します。」と要は言って部屋に足を踏み入れる。

ベッドに紗奈を下ろし布団を掛ける。

「可愛い部屋だな。」
周りを見渡し、ベッド側に置かれたクマのぬいぐるみを撫でながらベッドの横に腰を下ろす。

「なんだか要さんの部屋とはティストが違うから、別空間みたいですよね。
配置までそのままでびっくりしました。」
紗奈はふふふっと笑う。

要の空間は黒を基調としたシックなモノトーンでまとめられている。

紗奈の部屋は白と淡いピンクの色でまとめられた、ファンシーな空間だ。

「他の部屋も紗奈の好きなように変えてくれていいよ。」

「ふふっ、でも、要さんが私の部屋にいるの似合わないです。」
なんだか不思議で思わず笑ってしまう。

「何で？むしろ俺は居心地いいと思ってるんだけど。」
ちょっと不貞腐れた顔の先生が、可愛く思える。

「さぁ。早く寝て。」
そう言って紗奈の額にキスをして頭を撫でる。
「要さんも早く寝てください。」

「紗奈が寝るまで側にいたい。
だから、早くおやすみ。」

「…おやすみなさい。…朝食は私が作りますから…。」

「分かった。楽しみにしている。」

見られて眠るのは恥ずかしくてなかなか寝れないだろと思っていたのに、いつの間にか寝てしまった。

しばらく、その寝顔を見ながら要は不思議な安らぎを感じていた。