それは(なか)(かま)かけ、半ば言葉遊びのからかい文句(もんく)のようなものだった。

 レグルスは(かん)(するど)い方だが、それでも、まさかシャーリィがウィレスのことを好きになるなどと、本気で信じていたわけではなかった。
 だが、シャーリィは(はじ)かれたように顔を上げ、(おどろ)いたように目を見張る。

 言い当ててしまうとは思っていなかったレグルスは、思わずリュートを取り落としそうになった。
 それは、あまりにも深刻な問題だ。他国の王族が面白半分に首を突っ込むには、重過ぎる……。

「は、ははは。冗談だよ、冗談。そんなはず、ないよなぁ」
 今更(いまさら)ながらに怖気(おじけ)づいたレグルスは、笑って誤魔化(ごまか)し、逃げようとした。
 だが一瞬(おそ)く、シャーリィの手に衣の(すそ)(つか)まれ、逃げられなくなる。

「レグルス様は、お兄様の親友なのですよね?」
「はは、まあ、俺はそう思ってるけど……」

「じゃあ、もしかして知ってらしたのでは?お兄様の、私に対する気持ちを……」
「え!? あいつ、まさか(しゃべ)ったのか?君達が本当は兄妹(きょうだい)じゃないって」