高校生活で初めての体育祭
まだ夏の暑さが残る9月
私、加藤由梨は3年の先輩に
恋に落ちた。
「江口先輩かっこいーっ!」
隣ではしゃぐのは
高校に入ってから親友と呼べるくらい仲良くなった女の子、ミキ。
ミキが想いを寄せる江口先輩とは
3年生で最も
いや、全学年の中で最もカッコいいと言われている先輩。
スラっと伸びた背筋。
金のまじった茶髪から
時に見える左耳のピアス
とにかくカッコよくて
凄まじいくらいカッコよくて
江口先輩を好きっていう女の子は
たくさんいる。
そう、
みんな江口先輩が好きなんだ。
でも、私が好きなのは
江口先輩ではなく、
江口先輩といつも一緒にいる川瀬先輩。
川瀬先輩は江口先輩より背は低いけど、
それでもまだ高い方で
少し長めの黒髪で笑うと目が細くなる。
江口先輩や周りの友達からは
翔太って呼ばれてる。
川瀬翔太先輩。
私が想いを寄せる人。