飯田さんはそう言って笑うと会場を後にした。


彼女もきっと、他薦だったのだろう。


私はその後ろ姿を見送り、飯田さんという女性に強い憧れを抱いた。


私もいつか彼女みたいに強くカッコイイ女性になることができるだろうか。


「プリンセスは君1人になったみたいだけど、どうする?」


五十嵐浩介に意地悪く言われて、私は頬に流れた涙を拭った。


みんなの期待する視線が集まってくる。


まさか自分がこんな風になるなんて思わなかった。


学年1のプリンセス。


それも、学年1のプリンスの手によって手に入れた称号。


「私にとっても、プリンスはあなただけ」


私は恥ずかしさをこらえてそう伝えると、少し背伸びをして五十嵐浩介の頬にキスをきしたのだった。



END