「ねぇ、この子誰?」


「さぁ? ってか、こんな子いたっけ?」


審査用の写真は翌日からさっそく張り出されることになった。


各学年の廊下にある掲示板の前では人だかりができている。


写真の右下には番号が書かれていて、生徒たちは文化祭実行委員の会議室前に設置された投票箱に投票用紙を入れる。


「誰も沙織に気が付いてないね」


有紗が写真の前で立ち止まってニヤニヤとした笑みを浮かべる。


そこには私の写真が張られていた。


あのあと五十嵐浩介にメークされた私は体育館へ戻り、写真を撮った。


しかしその頃には私と五十嵐浩介以外の生徒たちの撮影はすでに終わっていた。


だから、この写真に写っている私を見たことがあるのは私と五十嵐浩介、そして実行委員の数人だけだった。


「あの3番の子めっちゃ可愛くね?」


「ダントツだよなぁ!」


男子たちがそんな会話をしながら投票用紙を握りしめて歩いていく。


その様子に顔がカッと熱くなって写真から視線をそらした。