桜雨、さようなら



 「そんなに悩まなくて、いいんだよ」


 …なーんて。
 キミに言ったその言葉が、もう届かないことは知っているけど。

 例え一方的でも、キミと話せるのはもう、これで最後だと思うから。


 ___一ヶ月前より、だいぶ体が薄くなっちゃってるなぁ…


 私が幽霊になった理由が『心残り』だったとしたら、きっとそれは…。


 キミの…橙太の、卒業を見届けること。


 そしてそれは…もうすぐ、叶っちゃう。
 卒業式は無事に終わった。
 後はキミが、あの……満開の桜が待つ、あの通学路を通り、帰るだけ。



 ボールペンを持つ、キミの手が動きだして色紙の上を滑った。


 ボールペンを机に置き、キミが息を吐いた。






 そこに、書かれていた言葉に。


 私は。