義兄の甘美な愛のままに~エリート御曹司の激情に抗えない~

両手首にも梱包用テープを巻かれ、抵抗を封じられた。どうしよう。叫ぶこともできない。丞一が到着する前に連れ去られてしまう。

「可愛い義妹が俺に抱かれたと知ったら丞一はどんな顔をするかな」

絶対に嫌。絶対にそんなことは駄目だ。

「丞一は怒るだろうなあ。俺は殺されるかもしれない」

私はうーうー唸り、必死にもがく。しかし、腹部に膝がめり込んでいて抜け出せない。手首の枷を取ろうと振り回すけれど、果たせない。

「丞一は、表向きおまえに優しくするよ。レイプされたんだって信じて甘やかすよ。でも腹の中じゃ俺の手垢がついたって嫌な顔をし続けるんだろうな。あいつは、俺が嫌いだから……」
「そうか、嫌いなのはお互い様だな」

聞き馴染んだテノールの声と同時に雄太郎さんの後ろにぬっと黒い影が見えた。次の瞬間、雄太郎さんはものすごい力で車外に引きずり出されていった。叫び声と争う物音。
拘束されたまま、車内から転がり出た私の目には雄太郎さんの襟首をつかみあげる丞一が見えた。

駄目だ。
ここで私はようやく気付いた。
雄太郎さんの一番の狙いはこれだ。私を傷つけることで、丞一を煽り暴力をふるわせるつもりだったのだ。それを理由に丞一を失脚させるつもりだ。