義兄の甘美な愛のままに~エリート御曹司の激情に抗えない~

にわかには信じられない。しかし、雄太郎さんが続けた言葉にぎくりとする。

『そうだ。ぼたんちゃんにだけ確認してほしいことがある。ベッドシーンが動画サイトに流出しててさ。さすがにこれは、本物でも偽物でも丞一は認めないだろ? きみの手前さ』
「嘘です。丞一さんに限ってそんなことは」

ベッドシーン。丞一が女性と浮気なんてあるはずないと思ったけれど、動揺は声に出てしまう。

『自信があるなら、なおのことぼたんちゃんに動画を確認してほしい。きみが東京にいない間はあいつも結構華やかにやってたからさ。そのときのものかもしれないし。R18の会員制動画サイトだから、ちょっと下まで降りてきて、俺のスマホをのぞいてごらんよ』
「必要ありません」
『わかんないかなぁ。丞一の浮気を確認できる最初で最後のチャンスだよ。本人はきみを失いたくないから認めない。だけど、きみは見ればわかるだろう』

せせら笑うような声音は、絶対に真実なんて言っていない。丞一がそんなことをするはずがないと私は信じている。
だけど、もし私と恋仲になる前、関係があった女性との動画だったらどうしよう。独身の彼のスキャンダルにはならなくても不名誉には違いない。何より、私が丞一のそんな姿をネット上にさらしていたくない。
雄太郎さんの言うことがすべて嘘である可能性も充分にある。だけど……。

「わかりました。行きます」