「食事に?」
お墓参りに行った翌週、木曜日の夕食時のことだ。珍しく早く帰ってきた義兄が言った。明日の夜、蘭奈さんと食事に行くらしい。
「悪いな。今回は断れない。表向きは叔母夫妻も同席で、仕事の話も兼ねると言っている。どうせ、叔母夫妻は遅れてくると言って姿を見せない気だろうが」
ビジネス上のディナーとしておいて、蘭奈さんとふたりきりにする作戦のようだ。本当になりふり構っていられないのかもしれない。
「私は気にしないから行ってきて。明日は、私も同期と食事だし」
「蘭奈には今後こういった誘いはやめろと忠告してくる。親父の手前、叔母の頼みを無下にできないだけだ」
義兄は非常に不機嫌そうだ。純粋な好意を示してくれるならまだしも、魂胆が見え見えの人たちと会いたくはないだろう。
義兄の拒絶で、強引な叔母夫妻が今度こそ諦めてくれるといいんだけれど。
「なるべく早く帰る。おまえの方が遅ければ、また迎えに行くぞ」
「いいってば、お迎えは。お兄ちゃん目立つんだもの」
「俺は目立っているつもりはないし、ぼたんに何かあったらと思っているだけだ」
義兄は悪びれることなく言い切った。自分の容姿や雰囲気が目立っていないと思っているのだからすごいものだ。
お墓参りに行った翌週、木曜日の夕食時のことだ。珍しく早く帰ってきた義兄が言った。明日の夜、蘭奈さんと食事に行くらしい。
「悪いな。今回は断れない。表向きは叔母夫妻も同席で、仕事の話も兼ねると言っている。どうせ、叔母夫妻は遅れてくると言って姿を見せない気だろうが」
ビジネス上のディナーとしておいて、蘭奈さんとふたりきりにする作戦のようだ。本当になりふり構っていられないのかもしれない。
「私は気にしないから行ってきて。明日は、私も同期と食事だし」
「蘭奈には今後こういった誘いはやめろと忠告してくる。親父の手前、叔母の頼みを無下にできないだけだ」
義兄は非常に不機嫌そうだ。純粋な好意を示してくれるならまだしも、魂胆が見え見えの人たちと会いたくはないだろう。
義兄の拒絶で、強引な叔母夫妻が今度こそ諦めてくれるといいんだけれど。
「なるべく早く帰る。おまえの方が遅ければ、また迎えに行くぞ」
「いいってば、お迎えは。お兄ちゃん目立つんだもの」
「俺は目立っているつもりはないし、ぼたんに何かあったらと思っているだけだ」
義兄は悪びれることなく言い切った。自分の容姿や雰囲気が目立っていないと思っているのだからすごいものだ。



