義兄の甘美な愛のままに~エリート御曹司の激情に抗えない~

「キスを許してくれるのか?」
「許さなくても勝手にするくせに」
「言葉で伝わらないなら、こうするしかないだろう」

伝わっている。ただ答えていいものかわからないだけ。
私たちが結ばれて、本当にいいのかまだわからない。義父が理解を示してくれても、反対する人は周囲に多くいるだろう。亡き母の言葉に背いてしまいそうなのも怖い。

「このまま抱いたら、もっと伝わると思うんだけどな。俺の本気が」

首筋にキスをされ、私は慌てた。

「だ、駄目。お兄ちゃん」
「無理強いはしない。だけど、もう少し触れさせてくれ」

そう言って、耳朶や鎖骨にも口づけてくる。私はびくんびくんと身体を震わせながら、義兄の腕の中で、甘い吐息を噛み殺し続けた。

義兄は本気だ。本気で私を妻にしたいと思っている。
そのためなら、叔母家族の悪意からも、そのほかすべてからも、私を守ってくれるだろう。

だけど、本当にいいのだろうか。
私に彼と住む世界が違うと説いた母はどう思うだろう。