義兄の甘美な愛のままに~エリート御曹司の激情に抗えない~

「お兄ちゃんだなんて、ぼたんちゃんは丞一をいつまでもそう呼ぶんだね。ベッドの中でも? 背徳的で盛り上がるのかな」
「下品な勘ぐりはやめろ」

雄太郎さんの揶揄を一蹴し、義兄はユリを受け取った。それから厳しい瞳で雄太郎さんを睨んだ。

「俺とぼたんは兄妹だ」
「結婚できる“義理”のね」
「ああ、それの何が悪い」

言い切った。
今まで私の存在を隠し、逃がしてきた義兄が、雄太郎さんに宣戦布告したようなものだった。

義兄は私の手を引いて、エレベーターではなく階段を上り始めた。一秒でも早くここから離れたい。そんな意思を感じた。

部屋に戻るとすぐに義兄からユリを受け取り、花瓶がどこだったかと探す。パーティーなどで花束をもらうこともあるので花瓶は大きなものを買っておいたはずだけど。
すると急に背後から抱きしめられた。

「お兄ちゃ……んっ」

顎をつかまれ、後ろを振り向かされた格好で唇が重なる。強引なキスには強くて深い愛情がにじんでいた。

「ぼたん、好きだ」
「お兄ちゃん」

私も。そう答えたかったのに、躊躇してしまう。
言葉にできない代わりに、ユリをテーブルに置き、私は義兄に向き合う。正面から見上げ、背伸びをするように義兄に近づいた。