家族の居間で向かい合い、三人でお茶にした。約束通り父の好きな大福を買ってきてよかったと思う。
最初は近況報告などをしていたけれど、義父は私と義兄の同居について特段気にしてはいないようだ。当初義兄は私の身辺を守るためとは言っていたけれど、それは義父の考えでもあるのだろうか。
そんなことを考えているうちに話題は移り、義父と義兄は仕事の話をし始める。いつなんどきも仕事のことが頭から離れないのは会社を背負って立つ人間の習性のようなものかもしれない。
「久しぶりだし、みんなに挨拶してくるね」
いい機会なので私は居間を出た。
キッチンをのぞくと使用人たちと外部から招いたシェフが、忙しく立ち働き戦争のような状況だった。今夜の晩餐会の準備だ。昔もこの家でこうした会があるときは家中大わらわだった。すると、年嵩の女性ふたりが近寄ってくる。
「あら、ぼたんちゃん。大きくなって」
「久しぶりねえ。顔が見られて嬉しいわ」
ふたりは母の同僚だった人たちで、私もずいぶんお世話になった。私は無沙汰を詫び、天ケ瀬家やみんなに変わりはないかと尋ねた。
庭師や義父の執事といった当時から知っている人たちは全部で六名。お土産に大福を手渡す。外部のシェフや新しくきた人の分もと多めに買ってきてよかった。
「私にもなにかできることがあれば言ってください」
「ぼたんちゃんは、何もしちゃだめよ」
「ほら、丞一様と泰作様とお茶なさっていてね」
最初は近況報告などをしていたけれど、義父は私と義兄の同居について特段気にしてはいないようだ。当初義兄は私の身辺を守るためとは言っていたけれど、それは義父の考えでもあるのだろうか。
そんなことを考えているうちに話題は移り、義父と義兄は仕事の話をし始める。いつなんどきも仕事のことが頭から離れないのは会社を背負って立つ人間の習性のようなものかもしれない。
「久しぶりだし、みんなに挨拶してくるね」
いい機会なので私は居間を出た。
キッチンをのぞくと使用人たちと外部から招いたシェフが、忙しく立ち働き戦争のような状況だった。今夜の晩餐会の準備だ。昔もこの家でこうした会があるときは家中大わらわだった。すると、年嵩の女性ふたりが近寄ってくる。
「あら、ぼたんちゃん。大きくなって」
「久しぶりねえ。顔が見られて嬉しいわ」
ふたりは母の同僚だった人たちで、私もずいぶんお世話になった。私は無沙汰を詫び、天ケ瀬家やみんなに変わりはないかと尋ねた。
庭師や義父の執事といった当時から知っている人たちは全部で六名。お土産に大福を手渡す。外部のシェフや新しくきた人の分もと多めに買ってきてよかった。
「私にもなにかできることがあれば言ってください」
「ぼたんちゃんは、何もしちゃだめよ」
「ほら、丞一様と泰作様とお茶なさっていてね」



