「そこが引っかかっているのか」
そう言うと義兄はぷはっと噴き出して笑った。それは彼にしては珍しく子どものように無邪気な笑い顔で、私は懐かしくて思わずまじまじと見つめてしまった。いつからか義兄はこんな無邪気な笑顔を見せなくなった。
愛欲の暗い雰囲気が霧散し、義兄は面白そうに表情を緩めながら私を解放した。
「すまない。そうだな。ぼたんが俺に不信感を覚えた理由を話さないといけないな。……しかし、それは明日の晩餐会のあとにしよう」
「明日……? なんで?」
「明日はお互い、嫌な想いをしなければいけない日だ。それが済んでから、全部話す」
義兄は楽しそうに笑って自室に入っていった。
ぽつんと残された私は、唇に残る感触に再び頬を熱くしながら、大急ぎでシャワーを浴び布団に入ってしまった。
目覚めたのは翌日の昼近くだった。
夕刻、私は義兄とともに天ケ瀬本家にやってきた。久しぶりの帰宅になる。
先日のパーティー同様に義兄が今日の服を準備してくれていた。
親戚が集まる会にあまり安っぽい格好をしていては、義兄と義父に恥を掻かせてしまうだろう。とはいえ、明らかにハイブランドのワンピースに気後れしてしまう。いまだに私は社長令嬢らしくなれない。
「ぼたん、おかえり」
親戚たちが集まるより早く到着すると、義父が笑顔で迎えてくれた。私と義兄を本当に嬉しそうに見つめる義父に、私も顔がほころんだ。
そう言うと義兄はぷはっと噴き出して笑った。それは彼にしては珍しく子どものように無邪気な笑い顔で、私は懐かしくて思わずまじまじと見つめてしまった。いつからか義兄はこんな無邪気な笑顔を見せなくなった。
愛欲の暗い雰囲気が霧散し、義兄は面白そうに表情を緩めながら私を解放した。
「すまない。そうだな。ぼたんが俺に不信感を覚えた理由を話さないといけないな。……しかし、それは明日の晩餐会のあとにしよう」
「明日……? なんで?」
「明日はお互い、嫌な想いをしなければいけない日だ。それが済んでから、全部話す」
義兄は楽しそうに笑って自室に入っていった。
ぽつんと残された私は、唇に残る感触に再び頬を熱くしながら、大急ぎでシャワーを浴び布団に入ってしまった。
目覚めたのは翌日の昼近くだった。
夕刻、私は義兄とともに天ケ瀬本家にやってきた。久しぶりの帰宅になる。
先日のパーティー同様に義兄が今日の服を準備してくれていた。
親戚が集まる会にあまり安っぽい格好をしていては、義兄と義父に恥を掻かせてしまうだろう。とはいえ、明らかにハイブランドのワンピースに気後れしてしまう。いまだに私は社長令嬢らしくなれない。
「ぼたん、おかえり」
親戚たちが集まるより早く到着すると、義父が笑顔で迎えてくれた。私と義兄を本当に嬉しそうに見つめる義父に、私も顔がほころんだ。



