義兄の甘美な愛のままに~エリート御曹司の激情に抗えない~

ねっとりと舌が差し込まれる。強引に舌を絡められ、息が詰まるのに身体はびくんびくんと震えてしまう。まるで喜んでいるみたい。
アルコールとキスの快感で頭の奥がしゅわしゅわとソーダのよう。気持ちいい。力が入らない。

やっとキスから解放され、私は息も絶え絶えに兄を睨んだ。

「キスでごまかさないで」
「ごまかされるくらい、気持ちよかったか?」

嘲笑めいた笑顔を見せられ、さらに私はムキになる。

「大の大人にいちいち心配しないでよ。お兄ちゃんの言うとおり変な人に付け込まれないように、充分気をつけてる。過保護にしないで」
「過保護じゃない。独占欲だ。おまえが俺以外の男と近づくのは許せない。言っただろう。俺は、おまえに悪い虫がつかないように何年も監視させていた男だぞ」

義兄は酷薄に微笑んだ。さらにその瞳によぎるのがはっきりとした欲情だとわかってしまう。
ぞくぞくした。この人は私をこのまま抱きたいと思っている。それが声からも全身からも伝わってくる。欲情に潤む義兄の瞳は悪魔のような美しさだった。

「私は……お兄ちゃんがわからない」
「わからなくていい。ぼたんはずっと俺が好きだっただろう。今も心変わりはしていない。こうして触れ合っていればわかる」
「そんな……!」

言葉を封じるようにもう一度キスをされる。
二度目のキスよりは軽い。だけど、執着は重い。