金曜夜の有楽町、銀座界隈は賑やかだ。林田くんおすすめの店は雑居ビル五階の居酒屋で、若い女の子が好むというより、中年の会社員が親しみやすい雰囲気の店だった。
焼き鳥が絶品というので、三人で串の盛り合わせを頼み、生ビールで乾杯した。
「ええ!? 天ケ瀬さんとお兄さんって血は繋がってないの?」
お酒が進み、食事が進み、家族や大学時代の話になる。そうした中で、私は簡単に自身の経歴を話した。
両親が再婚し、母は亡くなって地方の学校を出たこと。今は血の繋がらない義兄と住んでいること。
そこまで話すこともないかと思ったけれど、狭山さんは自身の失恋経験談をすでにたっぷり披露してくれていたし、林田くんも実家では大家族で苦労したというエピソードを飾らずに話してくれた。長い付き合いになるだろう同期には言ってもいいかと思ったのだ。
「義理の兄妹だけど子どもの頃から近くにいたし、私は実の兄としか思っていないから」
そこは嘘をついてしまった。私は男性として意識しながら育った。今も続く初恋の相手だもの。
「でも、一緒に住もうって言ったのはお兄さんでしょう。それなら、やっぱり何か気持ちがあるんじゃないかなあ」
狭山さんがわくわくとした表情でそんなことを言ってくる。
遍歴からしても恋愛体質と思われる彼女。面白いネタを提供してしまったかもしれない。
「過保護なだけだよ」
私は困って言い訳した。同居初日にキスされて迫られたとは言えない。
焼き鳥が絶品というので、三人で串の盛り合わせを頼み、生ビールで乾杯した。
「ええ!? 天ケ瀬さんとお兄さんって血は繋がってないの?」
お酒が進み、食事が進み、家族や大学時代の話になる。そうした中で、私は簡単に自身の経歴を話した。
両親が再婚し、母は亡くなって地方の学校を出たこと。今は血の繋がらない義兄と住んでいること。
そこまで話すこともないかと思ったけれど、狭山さんは自身の失恋経験談をすでにたっぷり披露してくれていたし、林田くんも実家では大家族で苦労したというエピソードを飾らずに話してくれた。長い付き合いになるだろう同期には言ってもいいかと思ったのだ。
「義理の兄妹だけど子どもの頃から近くにいたし、私は実の兄としか思っていないから」
そこは嘘をついてしまった。私は男性として意識しながら育った。今も続く初恋の相手だもの。
「でも、一緒に住もうって言ったのはお兄さんでしょう。それなら、やっぱり何か気持ちがあるんじゃないかなあ」
狭山さんがわくわくとした表情でそんなことを言ってくる。
遍歴からしても恋愛体質と思われる彼女。面白いネタを提供してしまったかもしれない。
「過保護なだけだよ」
私は困って言い訳した。同居初日にキスされて迫られたとは言えない。



