「あのさ、言うの遅れたけどチョコありがとな」

周りに誰もいないと少しは素直になれる。

「ううん、そんな、、、」

「美味かったよ」

「え、食べてくれたんだ」

また会話が途絶える。

お返しを用意してなかった罪悪感に襲われる。

母さんの言う通り持ってきてこのタイミングで渡せば、
誰にも見られないし、
罪悪感も消えたのに、と数分前を後悔する。

「トイレ行ってくるわ」

沈黙に耐えかねて逃げた。

そのままみんなが登校してくる時間までトイレにこもった。

薫を一人教室に残して。