今だ!


私はタイセイを追って駆け出した。


通路の床にはタイセイの血が点々と落ちてシミができ始めている。


「こっちだ!」


タイセイの声を頼りにひたすら通路を走る。


そしてよくやくくぼみを見つけてそこに身を隠すことができた。


「大丈夫?」


「あぁ、少しかすっただけだから」


「見せてみて」


「大丈夫だってば」


タイセイは頑なにキズを隠そうとする。


もしかしたら思ったよりもずっと深く切られているのかもしれない。


少し強引にタイセイの手を押しのけて傷口を確認してみると、服はスッパリと切られ中から血が溢れ出している。


暗いからどれくらい深い傷なのかよくわからないけれど、止血が必要そうだ。


わたしは自分のソックスを脱いでタイセイの右肩にきつく巻きつけた。


なにもしないよりもマシになるはずだ。


「悪い」