それに導かれるようにしてお客さんたちが移動していく。


お化け屋敷周辺から人影がなくなるのはあっという間のことだった。


「くそっ! 花火だ!」


タイセイが扉を殴りつける。


「誰か助けて! 誰か!!」


ドアが壊れるほどに叩き、蹴りつける。


それでも私達がここにいることに誰も気がついてくれない。


みんな空を見上げて嬉しそうにほほえみ、少しでも花火がよく見える場所へとかけていく。


「誰か!!」


叫んで叫んで声が枯れてきて、私達はまた絶望のどん底へと突き落とされたのだ。


もう一生ここから出ることはできないのかもしれない。


カマ男か作業服の男に捕まり、魂だけにされて部屋に閉じ込められる運命なのだ。


私達は見世物になるためにおびき出されたんだ……!!


お化け屋敷の前から誰もいなくなったのを見てその場にズルズと座り込んでしまう。