表の通路へ戻ってきた私達は暗闇に目がなれるまで少し時間が必要だった。


ロウソクの火はまだついているけれど、最初入ってきたときよりもその本数が少ない。


「火が消えたんだな」


タイセイが燃えカスを見てつぶやく。


いずれこのお化け屋敷の中は真っ暗な闇に包み込まれてしまうだろう。


それがまるで自分たちの制限時間のように感じられて強く身震いをした。


「他のお客さんが誰もいないね」


歩きながら周囲を見回してみても誰の姿も見えない。


通路を逆走しているのだから、誰かと遭遇してもおかしくないのに。


私は事務室でモニターを見たときのことを思い出していた。


あのときもお化け屋敷の中には誰もいなかった。


私達のためだけに特別に用意された空間。


そんな感じがしてくる。


通路を逆走しながらもいつカマ男が出てくるか、作業服の男たちが出てくるかとヒヤヒヤしていたが、どうにか入り口までたどり着くことができた。