ミチオが壁を殴ったときに聞こえてきた音の正体は、このドアが揺れる音だったとわかった。


このドアが少しだけ立て付けが悪かったことで、今お化け屋敷の裏側に入り込むことができていた。


お化け屋敷の裏側の通路は広く、色々な物を運搬しやすいようになっていた。


しかし全体的に薄暗いのは同じだった。


ただ、光はロウソクではなく、裸電球が天井からぶら下がっている。


「ドアだ」


先頭を歩いていたタイセイが足を止めて呟いた。


そこには茶色いドアがあり、目線の高さに四角い窓ガラスがはめ込まれいる。


そこから中を覗いてみると、さっき見ていた幽霊たちの1体がそこにいた。


男性の幽霊はゆらゆらと部屋の中を徘徊するばかりで、私達の存在に気がついていない。


「助けないと!」


幽霊を助けるということ自体よくわからない行為だけれど、私はすぐにドアノブに手を伸ばした。


しかし、部屋の鍵は頑丈にかかっていて開かない。