どうにか意思疎通ができるようになり、ホッと胸をなでおろす。


このまま何の感情もないまま、ずっと部屋から出て来れないかと思っていた。


「聞いてカズトモ。カズトモの体を見つけたの」


「体……」


カズトモが懸命に声を出す。


その声はか細くてかすれている。


だけど、私にはちゃんと聞き取ることができた。


「そうだよカズトモ。体に戻ればここから出ることもできる!」


「ここから……出る……」


そのときようやくカズトモは部屋の中を見回した。


そしてなにが起こったのか思い出したように見る見る青ざめていく。


「そうだ……ここはお化け屋敷の中だ。俺はベッドのある部屋に連れて行かれて、無理やり点滴を打たれて……」


そこまで呟いて、頭をかかえてうずくまった。