今までは声をかけ続ければ反応してくれていたけれど、カズトモにはどれだけ声をかけても無反応なのだ。


「ねぇ、お願いだからこっちを見て!!」


強引に視界の中へ入ると、ようやくカズトモと視線があった。


しかし、すぐに視線はほかへと移動してしまう。


「そいつは反応しない」


男の声が聞こえて振り向くと、そこにはカマ男が立っていた。


さっきミチオに首をしめられていた痕がしっかりと残っている。


私は部屋の奥へと後ずさりしたが、カマ男は追いかけてはこなかった。


「そいつはチケットを取った。そのときにすでに契約をした」


「……どういうこと?」


「チケットを取る条件だ。自分の魂をこの遊園地に渡すこと」


カタコトのようなカマ男の言葉に私は眉を寄せる。


「ただの冗談だと思ったんだろう。その男はそれを承諾して、チケットを取った」


「そんな……! それじゃカズトモは」


「そこから出ることはない」


カマ男はそう言うと高らかな笑い声を上げたのだった。