混乱しながらドアノブを回してみると、それはすんなりと開いた。


なんだ、開くじゃん……。


ホッとして中を覗き込んだ時、私はまた息を飲んでいた。


部屋の中にいたのはカズトモだったのだ。


カズトモは呆然とした状態で部屋の中央に立ち尽くしている。


ここに入れられた時と全く変化が見られないのだ。


「カズトモ！？」


声をかけながら部屋の中に入って、カズトモの顔を確認した。


濁った目はなにもない空間に向けられていて、返事もない。


自我がない状態であることはわかった。


鍵を開けても外へ出ていかなかった魂たちを思い出す。


だけど彼らも時間が経てば自分から通路へ出てきていた。


「カズトモ、私のことがわかる？　セイラだよ？」


しかしカズトモは反応を見せない。


それはこれまでとは少し違う感覚がして戸惑った。