先生が『キャンプ用品は学校で用意しますので、必要ありません』と言っていた意味が今わかった。


先生は先に車で道具を運んでいるのだ。


『でもさ、こうして疲れてから食べるカレーは美味いだろうな!』


『もう晩御飯の話し?』


呆れてそういうけれどみんなでキャンプをしながら食べるカレーは絶品だと思う。


今回の最大の楽しみだった。


そんな風に楽しみなことを話題しているとあっという間にキャンプ場に到着してしまった。


『な? 案外すぐに到着するだろ?』


タイセイに言われて私はうなづく。


もしかして私のためにあんなに大きな声で笑ってくれたのかな?


そう思ったときにはもう、タイセイは男子たちの輪の中に戻っていた。


『優しいよね』


コノミが近づいて来てそっと耳打ちする。


私は自分の顔が赤くなるのを感じながら『うん』と、小さく頷いたのだった。


あの時、きっとタイセイだって男子たちと一緒に登りたかったはずだ。