でも……。


先程見たコノミの顔が忘れられなかった。


目をギョロリと見開いて、口を大きく開き、赤い舌を見せていたコノミ。


あのとき私はこれがコノミだなんて少しも思えなかった。


そんな姿になっているミチオをコノミに見せたくはなかった。


「お願いコノミ。先に行ってて。必ずふたりを見つけて追いかけるから」


「セイラ……」


私がここまで言うにはなにか理由がある。


そう判断したのか、コノミは渋々首を縦に振ってくれた。


「わかった。じゃあふたりのことはまかせたよ」


私は大きく頷き、コノミの後ろ姿を見送ったのだった。