デス・チケット

美術部の5人が作った横断幕は昨日完成していて、それは教室の後方に飾られていた。


それをみたとき私は感動したのだ。


同い年でここまでのイラストが描ける子がいるのだと、驚いた。


運動会当日にはこれが空高くはためくのだと思うと心が踊った。


それなのに、すっかり忘れて怒ってしまうなんて。


自分のしてしまったことに落ち込んで黙り込んでいると、タイセイが『それなら、残りは俺たちがやるよ』と、声をかけてきたのだ。


振り向くとタイセイは笑顔を浮かべていた。


タイセイだって仕事がたくさんあって疲れているはずなのに、怒った顔も疲れた顔も見せていない。


そんなタイセイを見て、初めて心臓がドクンッとはねた。


胸の奥が熱くなってタイセイをまっすぐに見ることもできない。


『あと少しだから、頑張ろう。な?』


美術部の5人を先に返した後、タイセイは私の背中をポンッと叩いて言った。


全身が熱くなるのを感じながら私は『うん』と、頷いたのだった。


その後の作業の時間はほんとうに楽しかった。