「一応自分の身体のことですし、無下にはできませんよ。壱流も心配しますし」

「そう、だね。今のところは特に異常はないみたいだよ」


「それを聞いて安心しました」


私のメンテナンスをしているのは天才研究者の白銀龍幻先生。私や壱流の副担でもあり、私の師匠だ。壱流に血を提供したり私の相談にも乗ってくれる頼れるお兄さん。

大学生だって言ってたからそんなに年齢は離れてないはずなのに大人びて見えるのは白銀先生が落ち着いてるから?


その正体は未だに謎だらけ。

わかっていることといえば…


「炎帝さん、今日こそはキミの血をくれないかい?」

「いやです」


「どうしてもかい?」

「駄目です」


「そうか…キミは頑固だね」


最近やたら私の血を欲しがってくる。なんでも同じ研究をしている人たちにサンプルとして渡すんだとか。私は二重の意味で貴重だから。


白銀先生いわく、私は特別な血を持つ1人らしい。特別な血を持つ者は国内にたったの5人。

他の人と違うところは、生まれつき容姿が良かったり、戦闘力が高かったりするらしいけど私の見た目はそれほどよくないし…。ちなみに白銀先生もそのうちの1人。


それともう1つ。紅い月を摂取し半端モノとなった吸血鬼を救うことができ、一時的に自分も吸血鬼になれる能力を持っている。


今回はその力のお陰で壱流を助けることができたから、特別な血も悪くないかもしれない。だけどこの血は吸血鬼たちにとっては極上で狙われることは多い。