「とりあえず飯食いながら話しましょ!ねっ?」

「え、えぇ」


背中を押され奥に通された。


「……ねぇ」


「す、すみません!!」

「アネキ、今だけは見逃してください!」


一言でそこまで察されるとは。


私が怒った理由は、たまり場が以前と同じくゴミだめになっていたから。

前に来た日から2週間も経っていないのにここまで散らかるなんて。


「貴方たちは私が来ないとなにもできないのね」


「そりゃあまぁ、アネキがいてこそのたまり場ですから」

「今はアネキも闇姫として復帰したわけですし、もう少しここに来る頻度を上げてもいいんですよ?」


「そうですよ。幻夢アニキが来れない分もアネキがここを仕切るといいです」

「おい!」

「え?あ…」


「幻夢が来れない?」


その言い方だと幻夢はしばらくここに来ていない?


「どういうこと?幻夢に何があったの?」

「アネキ、もしかして聞いてないんですか?」


「なんのこと?」

「アネキって、幻夢アニキと同じ学校じゃ?」


「幻夢とはクラスが違うから」


朝と放課後の送り迎えは毎日欠かさないし、幻夢の様子も全然変わってないんだけど。


「数ヶ月前に言われたんです。しばらくここには来れないから、あとはアネキに頼れって」

「私に?」


「そうです。アネキが闇姫として復帰するなら自分はもういらないって」

「……」


幻夢がそんなことを言っていたなんて。


そもそも、いらないってなに?

みんなは幻夢を頼っているのに。ここの子は私のことも好きだけど、それ以上に幻夢にも懐いてる。それは幻夢もわかってるはず。


私の前じゃ、隠し事も嘘も苦手な幻夢が何も話さないなんて…。

気付けなかったのは私の落ち度だけど、少しくらい話してくれても……。それとも、私だと頼りない?