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 莉愛は大地に手を引かれ、笑顔で体育館から飛び出した。それからは人を避けるように走り、空き教室をみつけると、そこに身を隠した。

「はぁー。疲れたね」

 莉愛と大地は肩を上下させ、息を荒げながら床に座り込んだ。

「ほんと、疲れたな」

「お兄ちゃん、大丈夫だったかな?」

「翔さんには後で、謝りに行かなくちゃだな。こんな騒ぎ起こして……」

 その時、莉愛のスマホが鳴った。

 理花からのメールだ。

『莉愛お疲れ様~。翔さんのおかげで何もお咎め無しだよ。片付けは大丈夫だから、そのまま帰って良いよ』

 莉愛は理花からのメールに『ありがとう』と返信した。大地は何かあったのかと心配そうに見つめてきた。

「大丈夫だよ。お兄ちゃんが上手くやってくれたみたい。このまま帰って良いって」

「そっか……」

 そう言うと大地は黙ってしまった。大地の様子に、莉愛は不安になり思わず謝ってしまう。