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「そう言えば、みんなの目標を聞いてなかったんだけど、みんなの目標って何?」

 部員達全員がキョトンとした顔で、莉愛の方を見つめてきた。

「うーん?」

「やっぱり、目指せ春高バレーじゃん?」

「まあ、そうだよなー」

 何だろう、この感じ……。

 はぁーー。と、莉愛は大きな溜め息を付いた。

「みんな、ちょっと聞いて!そんな曖昧な目標じゃ気合いも入らないよ。あと、大会で使う横断幕探してみたら、ボロボロで使えそうにないの。今までのは『精神一到』だったんだけど……今の私達には合っていないような気がするのよね。どうせ作り直すなら変える?」

「んー」

「どうする?」

「あー横断幕?」

 首を捻る部員達。

 狼栄との練習試合が終わり、自信が付いたのは良いが、最近の部員達はだらだらと練習しているだけのように見える。このままではいけない、気を引き締めなければ……。

 莉愛は持っていたボールを、体育館の床に叩き付けた。するとボールは天井へと高く上がり、ゆっくりと落ちてくる。時間にして数秒の事だったが、部員達はボールをゆっくりと目で追った。天井からゆっくりと落ちてきたボールは、莉愛の手の中に吸い込まれるように収まった。

「ねぇ、みんな分かってる?私はコーチとして教えるのが好きなわけじゃないんだよ。私は勝利という言葉が好きで、勝利が欲しいの。私に勝利を捧げなさい!」

 莉愛の言葉に、部員達の背筋がゾクゾクとした。

「姫川に勝利を捧げるぞ!!」

 大地のかけ声に、部員達全員の声が重なった。


「「「「「おーー!!」」」」」