莉愛は咄嗟にレシーブをするため両手を組み、体制を整える。すると大地の手から放たれた強烈な一本が飛んでくる。それを莉愛は両膝の屈伸を使って、軽くステップを踏み、サーブの力を最大限まで弱めると、天井へと高く打ち上げた。ボールはネット際までゆっくりと上がっていく。そのボールを追いかけた莉愛は、大きくジャンプし、相手コートに思いっきり叩き付けた。

 莉愛のスパイクを打つ時のジャンプ姿勢は美しいと、昔から言われていた。

 莉愛がジャンプをした瞬間、それはまるで静止画を見ているかの様で……。あまりにも綺麗なホームに、大地も、狼栄の選手、コーチさえも唖然とするしか無かった。  

 転がるボールをそのままし、大地は莉愛の元までやって来ると、詰め寄った。

「お前、どうして試合に出なかった?怪我をしている訳では無いだろう?男なら俺と勝負しろ」

 男なら……。

 私だって男に生まれたかった。どうして女なんだろうって、いつも思ってた。ここでそれを言われるなんて……。