「ピーー!!」
ホイッスルと共に第二セットが始まった。
1番大崎大地のスパイクが強烈な音と共にコートに沈む。さすが王者狼栄のスーパーエースだ。リベロの瑞樹も動くことが精一杯でボールに触れることも出来なかった。
でも大丈夫。
「みんな大丈夫。ボール見えているでしょう」
そう、みんな早さには慣れている。見えているはずなのだ。そして大地のスパイクに食らいついたのは6番ミドルブロッカーの立石充だった。
充は焦っていた。回りがどんどん成長していくのを見ていることしか出来ず、悔しく思っていた。二年の俺が足を引っ張るとか、考えたくなかった。毎日毎日姫川からの強烈なスパイクをブロックで止め続け、そして今、大地のスパイクに合わせジャンプをし、ブロックで対応する。
「バシッ」
強いボウルの傷みと共に、手応えを感じた。すると充の手から離れたボールは狼栄コートに落ちて転がっていった。
「「「充ナイス」」」
みんなの声に充が振り向けば、最高の笑顔を向けられていた。
やった……。
俺、大崎大地のスパイクを止めたんだ。
充の胸が熱くなった。王者狼栄から取ったこの一本は、充にとって自信につながる大きな一本だった。
しかし、ここからは王者も黙ってはいなかった。あっという間に点差は開き、試合終了のホイッスルが鳴り響いた。


