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 東京体育館にて全日本バレー高等学校選手権大会、通称春高バレーが行われていた。春高バレー、それは各県で1位(王者)となった者達だけが集うことのできる場所。そんな王者達のひしめき合う東京体育館の高い天井の下に、一人の少女が立っていた。少女はジャージをまるでマントのように肩に掛け、腕を組むと妖艶に笑いクイッと顎を上げた。

「跪きなさい。そして、私に勝利を捧げなさい」

 スタメンメンバーが少女の前に跪き、顔を上げた。その瞬間、東京体育館にどよめきが広がる。

 これは後に『排球の女王様』と呼ばれた少女の物語。