「悠月さ……私っ、すみません……」

「なんで謝るんだよ?」

 困惑している様子の悠月さん。私はそんな悠月さんのことが、たまらなく大好きだ。
 どうしよう……。好きの気持ちが溢れてしまいそうで怖い。 
 この気持ちに気付かれたくないと、そう思ってるはずなのに……。

「ご、ごちそうさまでした! 私、掃除に戻ります!」

 涙を拭い、そのまま厨房を出ていこうとすると、悠月さんはその手を掴んで引き止める。

「……え?」

 悠月さん……?

「菜々海、待ってくれ」

「え……っと」

 待ってくれって、どういう意味……?

「菜々海、ごめんな」

 え?どうして、悠月さんが謝るの……?

「まさか菜々海が泣くとは、思わなくて……」

 あ、そっち……? そ、そういうこと……。

「い、いいんです!気にしないでください!」

 こうなったらもう、この気持ちを隠し続けるしかない。こんなすぐに泣く女、悠月さんに嫌われてしまうよ、きっと……。

「菜々海、もし泣くなら……これからは俺の前でだけにしろ」

 ……え? えっ!?

「そんな涙見せるのは、俺の前だけにしろよ。……泣いてる姿、他の人に見せるのはよせよ」